TENSへの耐性

こんにちは!トレーナーの猿渡です。

 

私が所属しているバスケットボールのチームに、今年度から治療器具を取り入れてもらいました。

チームの事務所も新しくなり、治療も可能になったことで、トリートメントの為に選手が事務所に出入りすることも多くなったので、フロントとのコミュニケーションの機会にもなり、治療以外にもいい効果があったのではないかと思っています…

 

 

伊藤超短波さんの超音波治療器と低周波治療器を導入したのですが、今回は低周波治療器について書きたいと思います。

DSC_0385
左:超音波治療器, 右:低周波治療器

経皮的電気刺激治療(Trans cutaneous Electrical Nerve Stimulation: TENS)

チームで導入した低周波治療器の中には、鎮痛・治癒促進のための微弱電流(MCR, MENS)機能、筋機能改善のための筋電気刺激(EMS)機能、そして経皮的電気刺激(TENS)機能が入っています。

怪我の種類や、状態によってこれらの機能を使い分けて、コンディション管理に役立てています。

 

今回は、この中のTENSについて。

TENSの主な目的としては、疼痛軽減・鎮痛効果です。

 

TENSによる鎮痛のメカニズムとしては、1960年代に発表されたゲートコントロール説/理論によって説明されています。

かなり簡単な説明になってしまいますが、

疼痛の発生と関係のない太い神経線維をTENSで同時に刺激することにより、疼痛に関係する細い神経線維によって伝導される痛み刺激が上位中枢へ伝達されるのを防ぐ(減少させる)という理論です。下の図がビジュアル的にわかりやすいと思います…

新規ドキュメント 2017-08-15 (2)_1
「ペインゲート」の図

我々が痛みを感じるためには、末梢で受けた侵害受容刺激が上位中枢(図で言う脳)に伝わる必要があります(図の「組織損傷」から始まる矢印)。

末梢から中枢への道の途中には大きな扉(ペインゲート)があって、通常この扉は開けっ放しになっているため、痛みは簡単に脳へ伝わってしまいますが、このときに、別の道の別の扉を開いてTENSによる刺激を脳に届けようとする(図の「皮膚をさするような刺激」から始まる矢印)と、痛み刺激の通り道にある大きな扉が閉まっていくのだといいます。

こうすることで、痛み刺激が脳に届きにくくなる。これがTENSによる鎮痛のメカニズムと言われています。

痛みとは別の刺激を与えることで、元の痛みをごまかす。ということなのかと。

人が痛みを感じたときにする「皮膚をさする」という行動は、実は治療器具を使う事と同じような効果を狙って自然にやっていた事なんです… すごいですよね。

 

もちろんゲートコントロール説には、もっと複雑な理論が含まれています。「ペインゲート」の開閉1つとっても、脳や脊髄内の受容体の働きや物質の濃度変化などが密接に関わっており、今の私では適切に説明できる自信はありません…

とりあえず、痛み刺激、TENSによる刺激によって、様々な神経化学物質・神経伝達物質が働き、疼痛の抑制作用が活性化されるか、疼痛(炎症)を発生させる興奮性の作用が抑制されるか、あるいはそれらが互いに働いて、鎮痛効果が生まれるということです。

 

TENSへの耐性

さて、本題に至るまでだいぶ長くなってしまいましたが…笑

本題はサラッと!

 

TENSを同一の周波数(1秒間の振幅数)、パルス幅(電流が流れている時間)、強度(出力の強さ)で毎日実施し続けると、鎮痛効果が低下していってしまう、と言われています。

 

新規ドキュメント 2017-08-15_1
庄本康治:TENSの理学療法への応用. 理学療法ジャーナル50(3):pp245-252, 3/2016

 

TENS
Chandran P. et al:Development of opioid tolerance with repeated TENS administration. Pain 102:pp195-201, 3/2003

 

そのため、継続的にTENSを治療で用いる際は、周波数、パルス幅、強度などを微調整しながら実施していく必要があります

チームで利用している低周波治療器は、あらかじめ数パターンの出力設定を保存しておくことが可能なので、毎回の設定を記録し、細かく変調したものを毎回選択しながら治療を行っています。

 

電極を貼る位置…

サラッと行くつもりだったのですが、この記事を書くにあたって、文献を読み直していたら面白いものを見つけてしまったので…もう1つだけ。

これは、器具の出力云々ではなく、電極の貼る位置についてです。

この文献では、電極を同一の皮膚分節領域に貼付する方が、別々の皮膚分節に電極を貼付するよりも鎮痛効果が得られたとしています。

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徳田光紀 他:肩関節術後症例に対する経皮的電気刺激治療の効果-電極設置部位に着目して-. 理学療法学27(5):565-570, 2012

 

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皮膚分節領域 / デルマトーム

同一の皮膚分節領域に電極を設置することで、ゲートコントロール理論をより効果的に反映できたとしています。

 

電極を貼る際には、上にあるデルマトームを参考にして貼ってみると良いのかも…?

1つの症例に対する治療効果なので、すべての怪我や状態に当てはまるかは、やってみないとわかりませんが、試してみる価値はありそうです。

実際、治療器具の中でも、細かな出力設定ができないものもあるかと思うのですが、電極の貼付位置であれば、機能に関係なく気をつけることができますよね。

 

治療する選手が増えると、上手く回すことで精一杯になってしまい、細かいところまで気をつけて実施できないこともあると思いますが、どうせ時間を割いてトリートメントを行うのであれば、効果の高い、質のいいものにしたいところ。

こういうところを気をつけてできるようになれば、きっと選手の毎日の変化にも容易に気付くことができるはずです。

 

まとめ

  • 経皮的電気刺激治療(TENS)を毎日行う際には、細かな出力の変調を行うことで、鎮痛効果を持続させることができる。

 

  • TENSを行う際は電極の貼る位置を考える。→ 同一の皮膚分節領域に貼付した方がより効果が得られる可能性がある。

 


 

伊藤超短波に就職した大学のトレーナーの同期がいたので、チームへの導入にあたってもとてもスムーズに対応していただきました! やはり横のつながりは大事ですね。

同期もいろんなフィールドで頑張っているので、私も負けてられません!

 

今回の投稿のような、簡単な文献紹介(文献Reviewと言えるほどのものではありません…)から、現場につなげていくような記事もどんどん書いていきたいと思っています!

 


 

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