こんにちは。トレーナーの猿渡です。
5/20~の6日間、カナダのトロントに行ってきました。少し長くなるので、2つに分けてまとめていこうと思います。
今回の主な目的は、
・NBA、Toronto RaptorsのGM
・MLS、Toronto FC の日本人トレーナー(セラピスト)
この2つでした。
ここではまず、Toronto Raptorsでの事について書いていきます。
RaptorsのGMへ…
まず着いて始めの予定はRaptors。

Raptorsは、ご存じの通り今シーズンNBAの東地区で2位となり、現在もプレーオフを勝ち進んでいる強豪チームです。今回の目的はそんな世界的チームのGeneral Manager(GM)であるBobby Webster氏。なぜ、こんな私がそんな人とアポイントを取れたのか。
きっかけは、昨シーズン、私のチームのヘッドコーチ(HC)だったOlsonさんが、NBAのSummer Leagueのインターンに挑戦することを勧めてくれたことでした。
HCは私の将来を気にかけてくれていたこともあり、私がカナダに興味があることも知っていました。そして、もともとHCとBobbyさんは友人関係だったこともあり、HCに二つ返事で「やりたい」と言うと、すぐに連絡を取ってくれ、そこから今までの経歴や将来についてのビジョンを英語でまとめ、Bobbyさんに送って、会ってくれることになった、という運びです(英語の資料作りに際しては、通訳の石田さんにかなりのアシストをしていただきました…)。
HCは、Bobbyさんには私の事を大分持ち上げて話してくれたようだったので、それもあって話を聞いてくれることになったんだと思います。
そしてアポイントの当日。
私はBobbyさんと携帯番号を利用するメッセージでやり取りをしていたのですが、なんと、海外で携帯番号が使えないということを忘れていた自分。現地に着いたはいいが、全く連絡が取れなくなってしまい、メールを使ってBobbyさんに何度も連絡しましたが、もちろん試合当日にメールを返している暇もない訳で、帰っては来ず。
とりあえず試合会場に行き、自分でチケットを買って、どうしようかと迷っていると、RaptorsのExecutive assistantのTim Chungさんからメールが(この人もまた凄い人なのにめちゃくちゃいい人で…)。


Bobbyさんは私のメールを見ていてくれたらしく、代わりにTimさんが返事をくれました。
そして、試合の途中でTimさんからPost game pass(試合後にコートサイドに降りられる招待券のようなもの)をいただき、試合後にコートサイドでBobbyさんを待ちました。

少し経ってBobbyさんと対面したのですが、さすがにかなり緊張していたこともあって、この時何を話したかは正直あまり覚えていません…。
でも、今のチームのこと、事前に送っていた経歴のこと、将来のことを一通り聞かれ、それから、ここで何がしたいのか。ということを聞かれました。そして私は、拙い英語でSummer leagueのインターンがしたい、please。と言うようなことを繰り返し言ったと思います。
結果を言ってしまえば、答えはNoでした。
Bobbyさんは、チームでやっていくためにはコミュニケーションが重要で、迅速な対応にも英語が不可欠だとおっしゃって、今の私にはそれが難しいだろう、とのことでした。
その通りだ。
私は英語が喋れない。
今のチームではまだ話せる方かもしれないが、それもただのPassion Englishだし、英語が主言語となればそんなものはゴミ同然だ。
本気でインターンに挑戦したいと思っていましたが、Bobbyさんと喋っているときに、ボロボロな自分を客観視して、内心で厳しいとは思っていたので、ショックを受ける気にもなれませんでした…。
そんなこんなで、主題についてはあっさりダメになってしまったのですが、Bobbyさんが、「明日の午前中に練習場に来なよ」と言ってくれ、もともと予定には無かったのですが、試合会場とは少し離れたところにある専用施設に行けることになりました。
専用練習施設(OVO Athletic Center)へ。

そして次の日の朝、専用練習場へ。ここの施設は、3年ほど前に新しくなったばかりという事で、細部に至るまで清潔で快適な作りになっていました。


写真の他にも、Hot bathとCold bath、それに水中トレッドミルなどもありました。これと言って目新しいものがあった訳ではないですが、必要なものは必要なだけすべてこの施設に詰まっている、という印象でした。さすがNBA。(規模でいえばNCAAのD1の施設と変わりはないか少し小さいくらい?しかし、綺麗でした…。)
AT、SCと会う。
この日のRaptorsは、試合の翌日で、しかも午後にはアウェイのMilwaukeeに発つというスケジュールだったので、チーム練習があるわけではありませんでした。
ですので、オフィスにはほとんど人はいなかったのですが、そんな中でも、Head athletic trainerのScott McCulloughさんと、Strength & conditioning coachのJon Leeさんがデスクで仕事をしていたのが印象的でした。
Bobbyさんが紹介してくれ、お二人とも話すことができたので、自分にとってこれはとても大きかったです。
彼らといるときに、Bobbyさんに、「トレーナーとしてここで働くには、何が必要か。何を必要としているか。」を聞いてみました。
すると、「ちゃんと専門知識を学んでいれば、資格は関係ない。必要としているのはその人にしか出来ないスキルを持っていること。」そして、「ここにいるみんながそれぞれ自分にしかできないstrong skillを持っている。たとえばScottはもう年だからいつ引退するかわからないだろ?(笑) そうなると代わりを見つけるのが大変なんだ。そういうことだよ。」と言っていました。
冗談も交えていましたが、これがプロチームで働くことだと思いました。そして自分を省みるきっかけになりました。自分は自分にしかできないものを持っているかな。これは常に忘れちゃいけないとこです。
自分に代われる者はいない。自分にしかできないことをする。そんな人たちが集まって一つのチームを創る。そんなことを意味していたんだと思います。
体育館へ。
最後に、体育館に案内してくれたのですが、そこには練習が無いにも関わらず、何人もの選手がシューティングを行っていました。このスケジュールにも関わらず。
そしてさらに驚いたのは、主力として前日もバリバリ試合に出ていた、IbakaやSiakam、VanVleetの姿があったこと。
前日の試合が終わったのは23時頃。私がこの施設にいたのは朝です。
私はこの光景を見た瞬間、何かわからないけど、胸が熱くなって思わず涙が出そうだった。彼らにとってはこれが当たり前なんだろうと思うと一層。これを書いている今でもそう。
ここだ。
こいつらと仕事がしたい。
確実にそう思った。
そりゃあ、SccotさんもJonさんも来るさ。アシスタントコーチ陣もリバウンドしに来るさ。こいつらやるとこやってんもん。こいつらと頑張りたいと思うもん。
色々見させてもらいましたが、一番心に残っているのは結局この場面です。これ以上の説明はいらない。これが、目指すべき場所だと確信しました。
ちなみにVanVleetは、この後のアウェイゲームで、凄まじい活躍を見せました。彼のこのシリーズでの成長と活躍はサプライズとも言われていますが、これは、彼の準備がそうさせただけで、これだけの大舞台での活躍も必然なんだと思います。
「Raptorsと関わる」ことができた特別な2日間。
緊張の面談から、施設の見学まで、時間以上にたくさん得るものがあった2日間でした。何よりもまず、私は普通にRaptorsファンです。こんなことあり得ない事だし、「Raptorsと関わっている」という感覚は何より特別なものだったと、後になってひしひしと感じました。

まずは、この私を評価してくれ、きっかけを作ってくれた、Olsonコーチには感謝しかありません。そして、プレーオフという最も大事な時期で、しかも成績次第では選手の入れ換えが激しくなると言われているRaptorsの、しかもそのGMであるBobbyさん。絶対に色々とやることあって、自分の首だってどうなるかわからないのに。
初めは恐縮過ぎて、連絡するのも失礼になると思っていましたが、せっかくきっかけを掴んだんだから、と思ってガツガツ行かせていただきました。本当にありがとうございました。
(②に続きます→TORONTO②)
[…] そんな反骨生活2シーズン目、私の働きを認めてくれた当時のアメリカ人のヘッドコーチに将来について話す機会がありました。「NBAに行きたいんだ」という思いを伝えると、RaptorsのGMと友人であったコーチがGMと私をつなげてくれました。そこからそのシーズンのオフに、カナダに行くことを決め、もう一度カナダのATプログラムについても調べなおしていました(実際現地でいくつかの大学窓口も回りました)。その時、Raptorsと同じくトロントのメジャーリーグサッカーのチームであるTorontoFCでAssistant ATをしている宮内さんに連絡を試み、トロントに行った際に「カナダのATがスポーツ現場でどのように働いているのか」を見るために、チーム練習を見学させていただけることになりました(→TORONTO①,TORONTO②)。 […]
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