「カネ」だけじゃない。

東京八王子ビートレインズの準加盟資格失格

このコミュニティにいる全員にとって、

「都合の悪い状況」が目の前にあった。

 

そんなとき、どん底に落ちたとき、

どんな思考をして、どんな行動をするのか。

 

私はこれを目の当たりにして、

いよいよ、このコミュニティの見方が完全に変わってしまった。

辞める。

これまでは、なんとか向かい合って、

自分なりに組織ともぶつかってきて、

変わったこともあれば、

変わらないこともあった。

 

私はそうやってこの組織と向き合っていくことが

「自分のやるべきこと」の1つであると信じてやって来たつもりだったし、

今シーズン苦渋の決断をしてこのチームに残った理由でもあったが、

辞めなかった理由、やる理由。

 

全員にとって「都合の悪い状況」が目の前に現れたここ数カ月、

それを受けてそれぞれの人間が起こした行動を見て、

もう、私の居場所は無いと思った。

 

もしかすると、自分で無くしてしまったのかもしれない。

たまたま「財政難」が浮き彫りになったに過ぎない

今回この問題が公になって、

「財政難」について周りが

「ああだ、こうだ。」言っている。

 

この問題がいつから始まったかなんて

周りに知らしめる必要もないが、

これは「カネ」の問題だけではない。

 

もっと大きな、目には見えない問題はもともとあったはずだ。

 

これまで起きてきた小さな亀裂を、

見て見ぬふりをして、

見た目だけは良くしようと繕って。

 

いつの間にか、自分達がいるこのコミュニティに向けるべき

厳しいベクトルはとうに消えていた

 

私は、プロ参入前からこのチームに関わっている、

今や代表を除いては唯一の人間だ。

 

長い間、このチームに関わり、

文字通り酸いも甘いも経験してきた。

 

社員もスポンサーも選手もスタッフも入れ替わったが、

それでも「変わらないもの」はずっと、根強くあった。

 

腐った土壌には、良い種は根付かない

 

その年のチーム状況がどうであれ、

機会があれば私はスポンサーの前でも

同じことを訴えてきたつもりだ。

 

さあ、ここからだ、という時、

不可解なタイミングで辞めていった選手もいた。

そんな選手たちはなぜ辞めていったのか

 

決してそのやり方が正しかったとは言わない。

 

しかし、

「おかしいぞ」って声を挙げたところで、

その「芽」は、このコミュニティに蔓延った

歪んだ宗教みたいなもので、

全員に踏み潰され、無かったことにされた。

 

あの人たちの「やり方」そのものじゃなくて、

発せられた組織への声に、ちゃんと向き合ったやつがいたか?

 

都合の悪いことは、

見て見ぬふりをする。

 

これを繰り返してきた結果、

今回はたまたま「財政難」という問題が

浮き彫りになっただけだ。

 

今回だって、

「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」と問い続ければ、

その他の問題が浮き彫りになるだろう。

私の仕事は「必死こいて頑張る選手」を支えること

もちろん「プロ」として、

自分にしかできないことをやって、

その対価としてお金をもらうことは当然のこと。

 

対価が支払われないのであれば、

仕事をすべきではない。

これは断固としてやってはいけない。

 

しかし、私が働くことをやめたのは、

「カネ」そのものだけが原因ではない。

 

そこに、

「必死こいてやる選手」が1人もいないから、

やめた。

 

もちろん、選手は「カネ」をもらっていないから、

必死にやる義務もなければ、それを強制できる人間なんていない。

 

選手が「必死こける」ように

環境を整えるのが、会社の責任。

 

カネが支払われないから選手がやらない。

これは、真っ当だ。

 

会社が給与を支払わないことは、

どの物差しで測っても、「悪いこと」である。

 

では、カネが支払われていた頃、

選手は本当に必死こいてやっていたのか。

 

「プロ」としての自覚をもって、

自分の貰っている対価に見合うだけの仕事を、

全員が、ちゃんと、やっていただろうか。

 

私はそうは思わない。

これは、

何度も、何度も、何度も、何度も言っている。

 

じゃあそもそも、

「カネ」があろうがなかろうが、

私の支えるべき選手はここにはいなかったのかもしれない

 

そんなことを一瞬でも思ってしまった。

 

そんな選手たちが、

我が物顔で「カネが支払わなければやらない」と

言っていた。

 

本当は言いたいことは山ほどある。

 

しかし、本当にカネが支払われていないから、

そんなこと言えるはずもなかった。

「試合で頑張ること」は仕事の一部でしかない

試合だけ一生懸命やれば、それが「仕事」なのか。

 

違う。

試合は「やるべきこと」の一部に過ぎない

 

試合を一生懸命やることは、

会社員が朝早く起きて電車に乗ることと同じだ。

 

それぐらい当たり前の事であり、

それを前提として仕事を請け負っているはずだ。

 

「こんな状況でも選手は頑張ってる」

「こんな状況だからこそみんなで選手を応援しよう」

 

私には理解できない。

 

別にこう言うことが悪とか言っているんじゃない。

 

ただ、

私はファンでもなければサービス業者でもないから、

目に見えない過程まで想像せずに、

ただ目の前で起こっている事象に対して

一喜一憂はできない

 

この問題が起こってから、

まともに練習もせずに試合をしたことが何度もあった。

 

まさに、「試合だけ」をしていたといっても過言ではない。

 

そこに至る準備もせず、

試合だけ行うなど、もはや仕事ではない

 

しかし、その試合にも

たくさんの金が支払われ、

何らかの価値が見い出されていた訳だ。

 

じゃあその「価値」ってなに?

金を支払ってまで、求めるものはなに?

 

それが、

「選手の頑張る姿」

「どんな逆境でも頑張る姿」

なのだとしたら、

 

それは、違う。

 

だったら、

学生の「ひたむきに頑張る姿」にも

大金を払ってビジネスとして成立しているはずだ。

 

このコミュニティは、「プロ」だぞ。

 

このお遊びに、

価値が見いだされるくらいだったら、

クラブチームのままでよかったはずだ。

 

クラブチームだったとしても、

ただ「頑張る姿」が見たいファンは

いくらでも増やせるだろう。

 

「プロ」が「プロ」である所以を、

はたして誰が考えているだろうか。

 

もちろん、スポンサーやファンの方が

お金を出してくれるからこそ、

我々の仕事が成り立つという事は百も承知である。

 

こういうことを言うと、

せっかくファンの方がいるのに、とか

スポンサーへの感謝はないのか、とか

言う人が必ずいるが、

 

それとこれとは、また次元の違う話である。

 

中にいるからこそ、芽生えてしまう感情ではあるが、

それは果たして、

中にいないと、芽生えない感情ということになるのか?

 

私はそうは思わない。

「疑いの目」は、もっと向けられるはずだと思う。

「プロ」を取り囲むモノ

地元にプロチームがあるということは

間違いなく誇らしいこと。

 

しかし、

ただ「プロチームがある」だけでは、

何の価値もない。

 

「プロチーム」の中で、

「プロ」として、

その組織にしかできない、

その会社にしかできない、

そのチームにしかできない、

その人間にしかできないことをやるからこそ、

そこに価値が生まれるんだ。

プロフェッショナルって何だ。

 

「プロ」の裾野なんて広げなくていいから。

もっと狭き門でいい。

もっと淘汰されていくような世界でいいんだ。

 

毎年毎年、財政難で救済が必要になるようなクラブが出る。

 

じゃあ、リーグはちゃんと

適切に「プロ」として成り立つのか、

評価ができているのか?

 

「財政難」に陥ったチームに、

「辛いだろうけど、ファンのみんなのために試合やってください」

どういう思考でそんなことを言ってんのか?

 

「プロ」にそんなことを要求することが、

「プロ」を管理する組織としてやるべきことなのか?

 

「プロスポーツチーム」の失態は、

逆境の中でも頑張るという、

漫画みたいな美学を描くための手段なのか?

 

その一つ一つが、

真の「スポーツの価値」に靄をかけていると気づかないのか?

 

プロリーグに属するチームが、

適切に評価されていないのであれば、

プロチームに属する人間もまた、

適切に評価されないに決まってる。

 

組織においては、「カネ」が評価になるのだ。

 

だとしたら、

その「カネ」の回りが正しく行われないことも

容易に想像できるはずだ。

 

究極を言えば、

この問題は我々に限ったことではない。

もっと大きな括りで見なければいけないのかもしれない。

 

「プロスポーツ」が

ビジネスとして成立する所以はなに?

 

「名ばかりのプロ」を産み出してしまう

アスリートの教育現場ってなに?

 

「名ばかりのプロ」をかくまうように

「プロチーム」が乱立してしまう原因はなに?

 

「名ばかりのプロ」に

莫大な価値が見いだされてしまう

この国のスポーツ文化って、

…なに?

「やるなら、言うな。言うなら、やるな。」

あれだけ会社の批判を言っていた選手たち。

その「批判」自体は何も間違っていなかった

 

1月5日の試合だ。

 

契約書がどうこうだとか、

いろいろ縛りはあった中だけど、

周りに「会社が間違ったことをしている」と

認識してもらうために、

 

試合までの全ての演出をボイコットする

決断した選手たち。

 

しかし、

蓋を開けてみれば結局社員の説得に易々と応じ

通常通り演出から試合を行い、

 

後々、

自分一人でやる勇気もなかったくせに

「何で入場しちゃったの」とか

「結局意味ないじゃん」とか

周りにベクトルを向ける人間たちがいた。

 

そこにはれっきとした、「間違ったこと」があり、

それを主張する正義がそこにはあったはずだ。

 

それなのに、

あれだけ批判しておいて、

自分は何のリスクも背負わずに、

 

自分にとっての「正義」を易々と曲げ、

(これも見せかけだったのかもしれないが)

 

何もなかったかのようにまた、

チームに居座り続ける。

それでいで批判を続ける。

 

なにそれ。

 

「やるなら、言うな。言うなら、やるな。」

 

そんな人間たちを見て、

その背景に写ってしまった、

日本のアスリート教育の

「甘ったれた恩恵」の産物でしかない人間を見て、

 

もう無理だと思った。

 

そんな「副産物」を

あたかも高級品のようにかくまっていたくせに、

 

こんな状況になってから、

やるべきことをやっていないにも関わらず、

「プロなんだから」とか意味のわからないことを

易々と言う会社やリーグを見て、

 

もう無理だと思った。

 

会社ではチームの批判、チームでは会社の批判。

 

いや、待てよ、

どっちもどっちだから。

 

そう思ってしまって、

もう、居場所はないと悟った。

 

本当なら、5日以降、

一日たりとも関わりたくなかった。

 

試合の場にいても、

「今起こってることの何に価値があるのか」

ばかり考えてしまった。

 

本当だったらそんな根源的なところ、

そもそものところに疑問を抱いてしまったら、

その場にはいる資格なんてないはずだ

 

その場にいる自分が、

また他人事のように試合を見ている自分が、嫌だった。

どっちもどっち

我々トレーナーは組織のパイプである。

チームと会社、

コーチと選手を繋ぐパイプだ。

 

どんなに汚い水でも、

我々を通して浄化することができれば、

相手に届くときに少しはきれいにすることができる

 

逆にパイプが腐っていては、

どちらから流れてきた水も、

相手に届くときには汚い水になってしまう。

 

組織をうまく回すために、

どちらに対しても、「良い顔」をする

 

「きれいなパイプ」であること、

それは、我々の仕事の1つだ。

 

でも、「良い顔」にも限界がある。

 

どちらからも汚い水しか出てこないのであれば、

パイプを通したってもう無理だ。

 

「どっちもどっち」

 

パイプの役割として、

これは一番思いたくないことだった。

悔い

選手がボイコットをキャンセルした、

1月5日の試合後、

思っていること全てを代表に伝え、

辞めることを決めた。

 

自分でもわからないが、

代表に物を言っているとき、

ずっと涙が止まらなかった。

 

そこにあったのは、

なぜだか、悔しさだった。

 

すべてやりきると決めて、

今シーズンここにいたのに、

結局なにもできなかったこと。

 

自分が「辞めたい」と思うきっかけが、

結局これまでと同じだったこと。

 

本当に向き合わなければいけないことは、

今の自分では手の届きようのない場所に

あるのかもしれないと思ってしまったこと。

 

どんな状況であったとしても、

トレーナーとしての原点を作った、

自分の中の哲学を強くしてくれた

この組織を、こんな形で去らなければならないこと。

 

このコミュニティに関わる全員に、

懐疑の目を向けてしまっていること。

 

ひとりひとりを見れば、

嫌いになるような人なんて一人もいないのに、

 

この「組織の中のひとり」として見たとき、

誰ひとりとして好きになれないこと。

 

虚しくて、悔しくて仕方なかった。

同じことを繰り返している自分

代表に向けて、偉そうに、

あれがおかしい。これがおかしい。

あたかも自分だけが正しいかのように言っている自分。

 

また、自分が属する組織の

悪いところしか見えなくなっている。

 

これまでと、全く変わらないじゃないか。

 

この組織にいる自分、

属している組織を好きになれない自分が、

また、そこにいた。

 

もう、何が正解かわからない。

 

潜在的に、

最後に引っ掛かるのは、いつも同じこと。

 

今回の件が公になったことで、

今まで抱いていた「疑い」が

再び自分の中で浮き彫りになったことや、

 

それを目の当たりにして、

ぷっつり気持ちが切れたことも事実。

 

と同時に、

また同じことを繰り返している

自分への嫌悪感と、

 

それでいて、

自分の中に決まって芽生える気持ちを

正義だと思いたい自分がいるのも事実。

 

「B3だからだよ」とか、

「上のカテゴリー行けば、また変わってくるよ」とか、

励ましてくれる人もいる。

 

でも実際、日本のトップがどうなのか、

見たこともないし、見たいとも思わない。

 

なぜか。

その競技のモラルとは、

草の根を見ればわかるから。

 

「プロ」と名乗らずして、

アメフト社会人リーグの日本一を経験したとき、

 

本気で勝ちを目指す組織が、

どう動いて、どうまとまって、

どう準備して、どう戦うのか。

 

この目で見てきた。

 

あれだけが正解ではない。

しかし、あそこには確かに、

「スポーツの価値」があった

 

属しているだけで誇りに思えるような組織が、

そこにはあった。

 

そういう経験が、

今の自分にフィルターをかけているのかもしれない。

 

何を思おうと、

今はいったん、「プロ」から離れたい。

離れなければならない。

 

不確かだとしても、

今は自分の正義に則って、

この組織から抜ける決断をした。

信じたい、スポーツの価値

本来であれば「プロ」の現場は、

「スポーツの価値」を心から感じることのできる場所だ。

 

「プロアスリート」を生み出す環境が変わり、

その上で「プロ」の裾野が広がれば、

本当の「スポーツの価値」に触れる機会を

増やすことができるに違いない。

 

より多くの人が、

胸の奥がグッと熱くなるような、

あの「スポーツの価値」、

ホンモノの「素晴らしさ」に触れることができるに違いない。

 

時間はかかるかもしれないが、

私が、スポーツ界にできることが、

「プロ」の世界にできることが、

必ずあると信じている。

 

「日本のアスリート教育を変える」

 

こんな野望が自分の中に芽生え始めた。

 

決して変わることのなかった、

自分の「疑いの目」が、

果たして正しかったのか、間違っていたのか

 

それを解決せずに、

「プロ」の現場に戻ってくることはできない。

 

変えようとすることで、

何かがわかるはずだ。

 

いつになってもいい、

やるしかない。

どうなろうと、最後に残るのは「感謝」

クラブチームだったトレインズの、

ホームページの応援メッセージフォームに、

「ここでトレーナーをやらせてください」と

長々とメッセージを書いて送った2013年の夏。

 

そこから途中

1シーズンのブランクはあったものの、

6年近くトレインズに関わってきた。

 

本当にいろんな事があった。

 

八王子一中で練習していたクラブ時代から、

NBDLへの参入、

B3からのスタート、

B2への昇格、

B3への降格、

そして現在。

 

自分の中でも、

様々な心境の変化や環境の変化があって、

多くの人と出会い、関わることができた。

 

和田代表とマネージャーの石田さんぐらいにしか

言っていなかったが、どうなろうと、

今シーズンが私にとっての最後のシーズンだった。

 

だからこそ、

それなりの覚悟をもって

取り組んでいた年でもあった。

 

故に、

ここまで積み上げてきたものを、

こんな形で終わらせてしまうのは、

正直、悔いしかない。

 

相当な遠回りにはなると思うが、

このまま終わるわけにはいかない

 

いずれ、

どんな形であれ、

この世界に戻ってきてやる。

 

自分の正義を、

「プロ」って何なのか、

「スポーツの価値」って何なのかってことを、

真正面からぶちかませるようになって、

戻ってきてやる。

 

組織に反発することはあっても、

今、確かに言えることは、

チームがどんな状況だったにせよ、

そのときそのときで関わったすべての人が、

今の私を作っている、ということ。

 

関わっていただいたすべての人に、

心から感謝しています。

 

長い間、本当にありがとうございました。

2 comments

Add Yours
  1. なかさん

    ありがとうございました!!
    プロの本質を垣間見えました。
    何が正解か分からない世の中、、自分の意見をここまで、しっかり言える事は、素晴らしい‼️‼️
    いつまでも、応援します‼️

    いいね

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