研究の切り口を考える

ちょうどブログ(『特異的トレーニング』を再考する)を書いている途中で、大学時代の教授がこの研究論文(1)をシェアしていたので目に触れたのですが、「特異性」について考えている中でこのような記事を見てしまったことで、色々と余計に考えてしまったことがありました。

『特異的トレーニング』を再考する

「トレーニングの原則」の中の一つに、「特異性の原則(Specific adaptation to imposed demands: SAID)」というものがあります。

SAIDは、生体は課された刺激に応じた適応をする(しかしない)(1)ことを説明しており、目的=競技力向上のためには、その競技に基づいた動作でもって、トレーニングを行う必要があるということです。

ひと繋ぎではあるが、決して同一線上にはない、「トレーニング」と「競技(そのもの)」。「特異的トレーニング」とは、ただ「競技動作を真似たトレーニング」である、と解釈していいのでしょうか

トレーニングにおいて「特異的」であること。それは決して競技力向上のための「近道」ではない…。

やりがい、とあれこれ。

コーチは選手を引っ張って導くのが仕事。では、トレーナーは?

もともとスポーツ界には必要なかったであろうトレーナーという役職。にも関わらず、今この道のプロとして生きていく理由。

私の頭の中にぼんやりとはあったものの、はっきりとはしなかった、“勝つ”ということ以外の、もうひとつの“やりがい”が見えてきました。

TORONTO②

②では、このトロント滞在のもう一つの大きな目的であった、Toronto FCでの経験について主に書いていきたいと思います。

Raptorsの時とはまた違って、こちらは実際の“現場”に立ち入ることができました。それは自分にとってとても刺激的なことでしたし、今の自分を省みるきっかけにもなりました。

TORONTO①

こんにちは。トレーナーの猿渡です。

5/20~の6日間、カナダのトロントに行ってきました。少し長くなるので、2つに分けてまとめていこうと思います。

今回の主な目的は、

・NBA、Toronto RaptorsのGM

・MLS、Toronto FC の日本人トレーナー(セラピスト)

この2つでした。

ここではまず、Toronto Raptorsでの事について書いていきます。

動かない+動かさない

こんにちは。トレーナーの猿渡です。

今月の臨スポのテーマはスポーツ頭部外傷についてでしたね。やはり頭部外傷や緊急時の現場対応については今も我々の中ではトピックとして扱われるものであり、諸団体も今回の臨スポについていくつか取り上げているようです。

頭部外傷の発生にどう対応し、診断し、治療を進めていくかは、大きな柱となる部分であり、専門家が繰り返し鍛錬し、考えていくべき問題です。と同時に、私自身バスケ界に入って一番感じることは、脳震盪の教育(Knowledge translation)の大切さでもあります。

今回はこの点について書いていきたいと思います。

選手に、偉いも偉くないもない。

「事件に大きいも小さいもない。」
このセリフを思い出さずにはいられなかった話です。
『NBAのトレーナーたちは、ステフやハーデンのようなスタープレイヤーのトリートメントを最優先にする。ベンチで座って試合に出ていない選手は二の次にするのが当たり前だ。』
ある選手から言われた言葉です。
これが本当なら、そういう風潮が本当にあるなら、私はNBAになんかもう憧れない。

「タイカン」と「キョウカク」③

3つに渡った「体幹」と「胸郭」についてのお話も、今回の③で最後になります。最後はこれまで再三出てきた「横隔膜」と「呼吸」と言う観点から、「体幹」と「胸郭」の関わりについて考察していきます。

私自身、実際に現場で処方することの多い、「体幹トレーニング」と「胸郭モビリティートレーニング」。これまでの記事は、「これ良いかもしれない」という現場の感覚を後押しするためのエビデンスを、継ぎはぎにつなぎ合わせたようなものです。ただの「こじ付け」に過ぎない文章ですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです…。